こんな方におすすめ
おすすめの理由
小学生から義務教育が始まり、中学生・高校生と、とにかくしっかり勉強するように日本の子供たちは教育されてきたと思います。
ところが、勉強しなきゃいけない理由を大人たちに尋ねても、
「あなたの将来のため」
「少しでも良い進学先に行くため」
などと言われるばかりでした。
あまり納得のいく返答をされた記憶はありません。
私以外の多くの方も、同様の経験をしているのではないでしょうか。
今回紹介する作品は、「なぜ勉強するのか」について非常に深いところまで掘り下げて私たちに教えてくれます。
もちろん若い学生さんにも読んで頂きたいですが、勉強は社会人として生きていくためにも必要です。
そのため、この本は学生さんだけでなく。世の中の全ての方におすすめできる本だと思いました。
あらすじ
高校2年生である主人公の内田和花は、大学に進学するのか、それとも就職するのか、高校卒業後の進路に悩んでいました。
そんな中、和花は兄から「手紙屋」を紹介されます。
「手紙屋」とは、手紙のやりとりを通じて、文通相手の悩みを解決するサービスだとのこと。
和花は「手紙屋」と文通する中で、勉強するということの本当の意味を学び、大きく成長していきます。
主な登場人物
内田和花
この物語の主人公。高校2年生で、大学に進学するのか、それとも就職するのか、高校卒業後の進路に悩んでいる。そんな中、兄から紹介された「手紙屋」と文通をはじめることとなる。
手紙屋
依頼主と手紙のやり取りをすることが仕事だという、正体不明の人物。手紙のやり取りをする中で、和花に勉強する意味を伝えていく。
勉強する意味を考える
今までこの地球上に存在した人々が経験し、発見しては次の世代へと伝えてきた素晴らしい知識や知恵を、今度は自分が受け継ぎ、自分のものにすること
これは、勉強するとはどういうことか、手紙屋さんが手紙に記した言葉です。
私にとって、学校の教科書に書いてある内容は、その多くが面白いとは思えないものでした。
多くの方が似たような記憶を持っているのではないでしょうか。
しかし、つまらないと思いながら勉強することは、かなりもったいないことなのではないか…。
この本を読み終えた今は、そんな風に思います。
学校で使用される教科書には、過去の優秀な人々が必死に努力し、ようやく得ることができた知識が詰まっています。
現在の私たちは教科書を読むだけで、それらを大した苦労をすることなく学ぶことができます。
教科書にサラッと書いてある数学の公式が、実は先人が人生をかけてようやく見つけたものかもしれません。
それを私たちはものの数分で手に入れることができるのです。
これってとんでもないことじゃないですか?
そう考えれば、教科書に書いてあるものが面白くて興味深いものに思えてくるのではないでしょうか?
やるべきこと=将来の自分がやっていて欲しいこと
「やるべきこと」というのは、決して「やらなければいけないこと」ではありません。ここを混同している人が多いから、「不快・退屈・苦痛」を感じてしまうのです。それは、本当は『将来の自分が、今の自分にやっておいてほしいこと』なんです。つまり、私たちは一日という時間を、『今の自分の欲求を満たすため』か、『将来の自分の欲求を満たすため』に使っているのです。
私自身、「やりたいこと」にはすぐ取り掛かることができるが、「やらなければいけないこと」はついつい後回しにしてしまう。そんな癖があります。
似たような癖を持っている方は多いのではないでしょうか。
しかし、この本を読んでまだ数日ですが「やらなければいけないこと」を「将来の自分が、今の自分にやっておいてほしいこと」だと考えると、不思議と後回しにすることが無くなりました。
嫌なことを後回しにすると、なんとなく罪悪感というか、もやもやした気持ちになるんですよね。
逆にそういった嫌なことを早く終わらせてしまえば、すごくすっきりした気持ちになります。
全体の感想
今回紹介した本は、喜多川泰先生の作品で、「手紙屋」シリーズの第2作目となります。
時系列でいうと、前作「手紙屋~僕の就職活動を変えた十通の手紙」の数年前の物語になります。
実は、同時期にこの2作の執筆を開始されたとのことで、著者はこの2作を合わせてひとつの作品として考えているそうです。
前作「手紙屋~僕の就職活動を変えた十通の手紙」での伏線が、どんどん回収されていくのも面白かったです。
さて、本作品は卒業後の進路に悩む内田和花と手紙屋との文通が中心で進んでいきます。
そのため、受験生の話が中心になるのですが、細かい受験テクニックの話はほとんど出てきません。
そもそも勉強するとはどういうことなのか、根本的なところを掘り下げていってくれます。
もちろん学生さんにも読んでもらいたいですが、勉強は生涯続けていくものです。
そのため、この本は学生さんだけでなく、すべての方にお勧めできると感じました。
ぜひ読んでみてください!