こんな人におすすめ
あらすじ
大学卒業が近づき、就職活動に悩んでいた主人公の諒太は、あるとき不思議なチラシを見かけます。
そのチラシには「はじめまして、手紙屋です」という文字。「手紙屋」とはお客さんと手紙のやりとりをしてくれるサービスだという。
諒太は「手紙屋」と文通をする中で、働く上で重要な考え方を学び、大きく成長していきます。
主な登場人物
・西山諒太
本作品の主人公。大学卒業が近づき、就職活動に悩んでいた時期に「手紙屋」との文通を始める。「手紙屋」と文通をする中で、働く上で重要な考え方を学び、大きく成長していく。
・手紙屋
手紙のやり取りをすることが仕事だという、正体不明の人物。手紙のやりとりを通じて、働く上で大事なことを諒太に伝える。
幸せで長生きする法人とは
幸せで長生きする法人とは、その活動を世の中の多くの人から長期間にわたって必要とされ続ける法人だ
諒太と同様に、私自身も会社の存在理由について考えたことがなかったので、この言葉には小さな驚きを感じました。ただ、その一方でこの言葉に深く納得している自分もいます。
古くから続く大企業の中で、儲けのみを最優先に考えている企業は少ないように感じます。儲けというものは、きっと多くの人から必要とされるサービスを提供した結果として出てくるものなのでしょう。
全体の感想
本作『「手紙屋」~僕の就職活動を変えた十通の手紙』は以前も紹介した「運転者」の作者である喜多川泰先生の作品です。「運転者」を読んだ際にも、喜多川泰先生の作品には独特の世界観があるなと感じましたが、本作品でも同様の感覚を覚えました。
物語は、ほとんどが諒太と手紙屋の文通で進みます。これだけ聞くと、退屈な作品のように感じますが、全然そんなことはなかったです。特に手紙屋の正体がわかったときには、諒太の気持ちが伝わり、かなり感動しました。
面白くてどんどん読み進めていけますが、学びにもなる、そんな作品です。
もし、現実の世界にも「手紙屋」が存在するなら、ぜひ私も手紙のやりとりをお願いしたいなと思いました。
本作品は、働くとはどういうことか、根本的なところにメスを入れてくれる作品です。そのため、就職活動中の学生さんはもちろんですが、既に就職して働いているすべての社会人にもお勧めしたい本です。