こんなひとにおすすめ
組織に属するすべての方
組織の能力を最大限に発揮したい方
おすすめの理由
今回紹介する物語では、主人公がドラッカーの『マネジメント』を野球部で実践していきます。
ここでポイントなのが、主人公が部活の監督や、キャプテンといった責任のある役職ではなく、ただの「野球部のマネージャー」という点です。
組織を良い方向に変えていくことは、肩書がない人物でも可能だということです。
この世界に、組織に全く属していない方はほとんどいないと思います。部活や会社だけでなく、家族だって組織でしょう。
そのため、この世のほぼすべての方におすすめできる本だと思います。
あらすじ
主人公の川島みなみは、高校2年生の夏休み直前に野球部のマネージャーとなります。
彼女は「野球部を甲子園に連れていく」という目標を持っていましたが、野球部の現状はあまりにお粗末で、甲子園に出場するどころの状況ではありませんでした。
この状況に悩みますが、みなみはドラッカーの『マネジメント』に出会い、この本に書いてある内容を野球部で実践していきます。
そうしてみなみの持ち前の行動力と周りの協力も相まって、野球部は大きく変わっていきます。
主な登場人物
川島みなみ
物語の主人公。高校2年生の夏休み直前に野球部のマネージャーとなる。「野球部を甲子園に連れていく」ことを目標とする彼女は、ドラッカーの『マネジメント』に出会う。
宮田夕紀
みなみの幼馴染であり、程校の同級生でもある。野球部のマネージャ―であるが、体調を崩してしまったため入院している。
浅野慶一郎
野球部の2年生。ポジションはピッチャーで、1年生からのエース。
加地誠
東京都立程久保高校の監督。野球部の活動に対して、あまり積極的に関わろうとしないところがある。
北条文乃
野球部の1年生マネージャー。とても優秀だが、人見知りで引っ込み思案なところがある。
人の強みを生かす
人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。人は弱い。悲しいほどに弱い。問題を起こす。手続きや雑事を必要とする。人とは、費用であり、脅威である。しかし人は、これらのことのゆえに雇われるのではない。人が雇われるのは、強みのゆえであり能力のゆえである。組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある。
人は最大の資産である
ドラッカーの『マネジメント』からみなみが引用した言葉です。
この言葉により、みなみは1年生マネージャー北条文乃に対する見方が変わっていきます。
北条文乃はみなみにとって扱いにくく、苦手な存在でしたが、彼女の強みに目が行くようになったのです。
彼女の強みに目が行くようになった。彼女のよい点ばかり探すようになった。当然だ。なぜなら、彼女の強みを生かさなければ、マネジメントの成功はありえないからだ!
彼女の強みを見つけたみなみは、その強みを組織の生産に結びつける方法も考えつきました。
組織には、様々な人が在籍していることと思います。私の職場でももちろんそうです。
「人の良いところを見つける癖をつけなさい。」
こういった言葉は幼いころから、大人にかけられてきました。
すごく良い言葉だと思います。
ただ、この本を読んだ私の場合は、こんな風に声をかけるかもしれません。
「人の良いところを見つける癖をつけなさい。そして、その良いところをどうやったら生かせるか考えなさい。」
人は、優れているほど多くの間違いをする
二階正義は、マネジメントチームに入ってから多くのアイデアを実行に移します。そのときにみなみが心掛けていたことは、次のことでした。
みなみは、正義の打ち出してくるそれらのアイデアについて良し悪しを判断しないよう心がけた。時には疑問に思うものもないわけではなかったが、それを口には出さず、ほとんど無条件でその実行を手伝った。
ドラッカーの『マネジメント』には、間違いや失敗をしない者は、無難なことや、下らないことにしか手をつけない人だと書かれています。
さらに、人は優れているほど新しいことを試み、多くの間違いをおかすとも書かれています。
たしかに私の経験上でも「あの人は優秀だよね」と言われる人たちは、新しいことにバンバン取り組む人が多かったように感じます。
思い返すと、たしかにそういった人たちは失敗やトラブルを起こしていました。
ただ、不思議なことに失敗やトラブルが多かったイメージが無いんですよね。とにかく新しいことにバンバン取り組む優秀な人だった。という印象しかありません。
新しいことに挑戦するということは、周りの人にそれだけ大きなインパクトを与えるということでしょうか。
『完璧とは、ダメになる過程の第一段階』という言葉が以前のブログ記事で紹介した「仕事は楽しいかね?」にも出てきました。
私も新しいことに挑戦することが苦手で、無難なほうに逃げる癖があるので、新しいことに積極的に挑戦していこうと思います。
野球部のマネジメントが成功した理由
彼女にはそういうところがあった。考えるより先に、まず行動するのだ。
みなみには反省してもすぐ気持ちを切り替えてしまうところがあった。
本作のマネジメントが成功した要因のひとつは、当然のことながら、みなみが真剣にドラッカーの『マネジメント』を読み、野球部を甲子園に連れていく方法を考え抜いたことです。
ただ、私にはそれだけで成功したとは到底思えません。
もうひとつの要因として、みなみの圧倒的な行動力と、上手くいかなくてもすぐに気持ちを切り替えられる性格にあったと思います。
人はすぐにみなみのようになれるわけではないと思います。
ただ、なにかを成し遂げるためには「行動力」と「気持ちの切り替え」が重要であると認識することができたのは私にとって大きいことでした。
全体の感想
今回紹介した本は、『もしドラ』の愛称で有名となり、映画化もされた「もし高校野球の女子マネージャ―がドラッカーの『マネジメント』を読んだら」です。
最近の本のように感じていましたが、10年以上前の本になるんですね…。時間の経過の早さに驚きました。
この『もしドラ』ですが、有名になりすぎてなんとなく敬遠していましたが、組織について学びたかったため読んでみました。
もっと早く読んでおけばよかったなというのが率直な感想です。有名になる本には、ちゃんと理由があるんだなぁと改めて思いました。
アニメ調の表紙のため、軽いラノベみたいな内容じゃないの?と誤解されそうですが、ゴリゴリのビジネス本です。
ドラッカーの『マネジメント』自体はとても難しい本だと思うのですが、高校の野球部という身近なケースを使ってかみ砕いて説明してくれています。
とてもわかりやすいし、自分の所属している組織に当てはめて考えると面白いです。
社会人だけでなく、それこそ高校生にもおすすめしたい本です!