こんな方におすすめ
おすすめの理由
この本では、会社組織における業務改善の基本的な考え方から、具体的な手法までわかりやすく説明されています。
職場で働いていると、常習化した非効率な業務、明確な目的も無く昔から続いている慣習など、沢山の障害にぶつかります。
この本を読むことで、これらの障害がなぜ生じるのか、また、どのように改善していけばいいのかを知ることができます。
残念な職場からは人が成長したい人は去っていく
「研究開発部門なのに、新技術に触れる時間がない。研究行為をほとんどしていない。」「ここで社内説明の資料ばかり作っていて、研究者として成長できるのだろうか?」この悩みは、研究者個人としてきわめてヘルシーです。だったら、研究に没頭できる会社に転職しますよね。成長できない職場から、成長したい個人は去っていきます。やがて、“残念な組織”として認識され、組織そのものの価値がどんどん下がっていきます。
この認識には、まったく同感です。
無駄な作業が多すぎて自分の成長につながる勉強をしたり、経験を積んだりする機会が少ないと、会社を去ってしまう人が多いのではないでしょうか?
特に新卒採用された職場がこのような状況であれば、私は1年以内でも転職すべきだと思います。
社会人として最も若くて、多くの技術や経験をスポンジのように吸収できるこの大事な時期を、成長につながらない職場で過ごしてしまうのはとてももったいないことだと思います。
風通しの悪い職場のデメリット
「無駄を洗い出せ」そう言われても、ポカン。なぜなら、自分たちの仕事に無駄があるなんて思っていないから。ある意味当然で、たとえば同じ人が同じ仕事を5年、10年続けていたら、そのやり方が無駄などと思わないようになります。あるいは、前任者に気を遣って、口が裂けても「無駄」だなんて言いません。私たちは心優しい日本人だもの。
異動がほとんどなく、新卒から長年勤めている人が多い職場だと、このような状況になってしまいます。
そんな職場に外部の人間が入っていくと、沢山の違和感がすぐに見えてくるのですが、長年勤めている人にそのことを伝えても、ピンと来ていない。こんな状況は案外多いのではないでしょうか。
この本に書いてある通り、長年同じ職場で同じ仕事をしていると、そのやり方が無駄などとは思わないようになります。このような職場は、まさに「風通しの悪い職場」ですね。
社員の意見を聞いた後、フィードバックがない
「改善検討プロジェクト」なるものが立ち上がって活動をしていたらしいが、だれが何をしているのかまったくよくわからなかった。社員の意見を聞いたものの、あるいは改善を提案させたものの、それがどう扱われているのか?処遇や進捗が現場に共有されない。あるいは、本社主導で何か取り組んではいるらしいが、一部の人たちのよく見えない活動で終わってしまっている。
せっかく職場アンケートに答えたのに、その結果がどのように会議で扱われたのか、なにも知らされない。そのような状況で社員の業務改善の意識が上がるはずもなく、不信感が募るばかりです。
逆に、会議の結果をフィードバックしてくれれば、社員のモチベーションも上がるかと思います。
私自身も職場で業務改善アンケートに答えた後、会議の様子を詳しくフィードバックしてもらったことがあります。この際は嬉しく思ったのと同時に「当事者意識」が芽生えたのを覚えています。
仕事の量は、どこまでも膨張する
イギリスの歴史学者・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンは、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」と語っています(パーキンソンの第一法則)。とても不思議なことなのですが、目の前から仕事を取り除いても、人はまた新しい仕事を自ら増やしてしまうのです。色とりどりのExcel表、“念のために”送られてくる確認やお願いメール、芸術の域に達したPowerPoint……時間があれば、いくらでもやることは見つかります。
私自身も身に覚えがある話です。
仕事の時間が沢山あると、ダラダラと作業をしてしまうし、重要ではない部分にこだわってしまいます。さらに、家に帰ってから作業すればいいと考えると最悪です。なんせ、仕事時間が無限にとれるのですから…。
こうならないためにも、仕事の目標時間を適正に設定しておくことが重要です。そんな風に仕事をすると、業務改善につながるのではないでしょうか。
全体の感想
私は4月に別の職場に異動したのですが、いろいろと思うところがあったため、この本を手に取りました。
業務改善に関する本を読むのは初めてでしたが、初心者にもわかりやすく説明してくれていました。また、職場での業務改善が難しい理由や、この難題をどのように進めていくための具体的なプランも紹介されていました。
さすがに異動してきたばかりでこの本に紹介された方法をすべて試すことは難しいでが、業務改善の根本的な考え方を学ぶことができたのは、とても良かったなと思います。
まだ4月なので、異動先でモヤモヤしている方も多いかと思います。そういった方にぜひ読んで頂きたい一冊です。